04938-171103 Scrapboxで論文の構成と階層構造の操作
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それから4年ちょっと経った今年(2017年)3月にScrapboxを使い始め、10月にはブログも全面的にScrapboxに移行した結果、まったくMarkdownを使わなくなりました。MarkdownよりScrapboxの記法がシンプルで合理的だからです。
「見出し」の記法に関して、MarkdownとScrapboxの相違がたびたびTwitterで話題になります。
端的に言えば、Scrapboxには「見出し記法」がありません。必要ないからです。
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shio.iconの理解が間違っていなくてよかった。Scrapboxは「見出し記法」を必要としないのです。
Scrapboxはシステム自体にインデンテイション(段落を右にずらす)機能があり、段落の左右移動で階層を自在に動かせます。しかしMarkdownの場合は普通のエディタなどでも使える汎用の記法であるため、システム自体に階層移動機能を持たせることができず、見出しの階層を視覚的に表現する手段として、「#」が用いられています。
#第1編
##第1章
###第1節
####第1款
#####第1目
と表記することで「見出し」という意味づけをする一方、右にずらす(インデントする)ことによって視覚的にも階層を表現するのです。だから階層が深くなると#が増えるのです(同時に#が増えると文字のサイズが小さくなるという違和感もはらみます)。
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でもScrapboxはその必要がない。
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
とすればいいからです。
それだけでなく、階層の位置は自由。例えば、極端な例として、
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
ということも普通にできます。見出しだけでなく本文の位置も自由。
なので「見出し記法」は必要ない。存在しない。
あるのは文字のサイズを大きくする機能。
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
とするのも、
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
とするのも自在です。これも、サイズの順序は自由。
もちろん見出しでなく本文も、好きな階層に好きなだけ、好きな文字サイズで書けます。
自由です。
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さらに素晴らしいのは、文章が長くなったとき。
例えばこういうこと。
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
という構成で長い文章を書いた後に、「第2章」を書きたい場合、「第1章」はもう画面の上方にスクロールしていて見えませんから、一見すると「章」がどの階層だかわからなくなります。そこでまず「第1章」まで戻って「第1章」の文字列の末尾にカーソルを置き、改行します。すると同じ階層に新たな段落ができますから、そこに「第2章」と書きます。
第1編
第1章
第2章
第1節
第1款
第1目
さらに「第2章」にカーソルがある状態で、control+↓を押せば、「第2章」の段落が下に移動し、こうなります。
第1編
第1章
第1節
第1款
第1目
第2章
長文を書いていて、階層が深くなった後に、浅い階層に新たな段落を書き始める際、こうして確実に狙った階層に置けるのです。またcontrol+←、control+→で階層を左右に移動することもできます。
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control+↑・↓・←・→で段落を上下左右に移動できる。
さらにoption+↑・↓・←・→なら、下位の階層ごとまとめて上下左右に移動できます。
Scrapboxが論文など長文の構成を練るのに重宝であるゆえんです。
司法試験の場合、論文の階層構造が非常に重要です。
第1
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(1)
ア
(ア)
と番号を振って論述するルールです。判決文など、法律文書は基本的にこのルールに則っています。
なので、階層構造を意識して書く環境を日常的に使うことが、学生たちにとって非常に重要。
Scrapbox。
文章を構成して書く環境として最適。
レポート、長文、論文、法律文書、そして学生の論述力を涵養する教育ツールとして適しています。
〈写真は司法試験の論述問題の起案を訓練する「ドラゼミ」で、本番と同様の回答用紙に万年筆で起案が終了した後、学生が論述内容の法律構成を解説しているところ〉
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